2017年春
4/16(日)大阪 「ザ・コレクション」 展覧会鑑賞2 藤田美術館
蔵の内部が展示室になっている。
木製の階段の下に展示されていた快慶作の仏像を鑑賞。室内は木枠のガラスケースで室内には四角い材木の柱がある。木が目立ちます。
入ってすぐ、階段の左手、快慶作の仏像の手前には島状に設置されている木枠のガラスケースが2個ある。
両方ともに茶碗が展示してある。文化財指定はない。手前のケースには「玉子手茶碗 銘 薄柿」がある。銘の意味を理解していないが・・・・。
奥側のケースには「柿へた茶碗 銘 大津」 「滋賀の大津」にちなんだ由来があるので、「銘 大津」となったそうだ。
両方の器とも、国宝「曜変天目茶碗」の前座としての展示でしょうか?。
さて、どこから見ていこうかな、と考える。続いて、奥の壁に沿って展示を見ていく。室内には20人くらいはいるだろうか。階段を見学者が昇り降りすると木製ゆえ、ギシギシと音がする。
「玄奘三蔵絵」があった。ガラスケースの幅があまりないため(150cmくらい?)、少ししか開いていない。ダーット横に巻物を開くことが出来ないのが、残念か。
サントリー美術館のときの展示場面と異なり「険しい山の中を、三蔵法師一行が馬に乗って越える、進んでいる」シーンだった。
説明には「興福寺大乗院に伝わり、門主交代のときに、新門主のみがみることを許された・・・・。」とある。
奥の窓の手前にガラスケースには 明の時代 景徳鎮の水差しの磁器の展示があった。
一番奥の壁面には国宝「両部大経感得図」の二部がある。二枚に分かれた絵だ。左右並べて展示してある。
左「龍孟」 塔(多宝塔の感じ)の中に人がいる。経文を守っている人だそうだ。僧 龍孟が対峙している図。
経文を唱え、中の貴重な経典を手に入れたようだ。
右「善無畏」 ぜんむい インドの僧。 五重塔が表現されている。右上に経文が書いてある。野原に経文か天を見上げる人が小さく描いてある。
ともに襖絵よりも大きいサイズの絵だ。快慶の蔵と同じく、廃寺となった天理市の内山永久寺にあったそうだ。
今まで知らなかったが 内山永久寺は、廃佛毀釈で廃寺になったようだが、現在でも文化財指定されている宝物があるとので、かなりの由緒のある大寺だったのだろう。
室内の奥側、島状に設置されている木枠のガラスケースの中に国宝「曜変天目茶碗」があった。傍らに漆塗りの台も置いてある。唐草文様の模様が施されている。なぜか、台には「金」と文字が入っている。後世誰かが作った鑑賞用の木製の台だろう。
国宝の割には、簡素なガラスケースにポツンと展示されている。茶碗の内部には、上から小さいライトが照らされている。内部のはじけるような紋様と再びのご対面である。
となりのガラスケースには、小さい「油滴天目茶碗」がある。直径6センチくらい。小さい。以前見た国宝に酷似している。鑑賞用の台の上に乗せている。両ガラスケースは隣接して設置してあるが、ガラス面が透明なので
国宝「曜変天目茶碗」は、ほぼ360度の周囲から鑑賞できる。
曜変天目茶碗の内部にあるプチプチの輪を見ながら「コバルトだな。」と言う老人の男性もいた。家族連れ、子連れも見学にきている。熱心にガラスケースの中の不思議な茶碗に見入っている。
ライトは、茶碗の内部しか、照らしていない・・・・・・。「あれ、サントリー美術館では横にも斑紋があって、キラキラ輝いていたはずが・・・。」と思った。曜変天目茶碗の側面は、ライトに照らされていなくて、暗くて何も紋様、斑紋が見えないのだ・・・・。「あれ、側面に斑紋があるのは、静嘉堂の曜変天目茶碗だったかな??。」と自分の記憶を疑ってしまった・・・・。
近くの壁には、茶道具として「茶入れ 肩衝」が展示されている。小さいお茶入れかな。
壁側、入口付近にあった巻物の並びの平ガラスケース内には、香合の展示があった。小さい。「カワイイ」小道具だ。三点展示されている。香をたく道具だろう。囲碁の碁盤をもした、4cm四方くらいの大きさだ。小鳥(というか小鴨)の姿の香合も展示されている。子供のオモチャのようだ。が、碁盤の香合はあの「松花堂昭乗」が所有していたものだそうだ。大変由緒のある香合だ。
出入口近く、室内に入って左手に国宝「深窓秘抄」がある。名前から想像してもどのような文化財なのか想像もつかなかった。巻物で、のびのびしたくずし字で文字が書いてある。和歌を集めたものだった。説明文によると「和歌を書写したもので・・・・・・完本である・・・」そうだ。切断されていないので、断簡になっている部分がなく、完全に残っている巻物ということだった。平安時代の作だが、末期、鎌倉時代に近い後白河法皇の頃の作ではないだろうか。法皇様の「梁塵秘抄」ともタイトルが似ているし。秘抄とは、詩、和歌集などを意味するのだったかな?。
「深窓秘抄」には「雅」と章の名前?が入り、「そのうえ ・・・・・ つみほし 少将 みやどの 」のように、和歌と作者の名前が書いてある。
「・・・のつゆを ・・・・よめなるしそむ ×輔中納言」と文字はほとんど判読できないし、私も誤転写しているが、中納言であった貴族の和歌である。そのまんまだが(笑)。
「いそしのよるの・・・・かなわぬて あ・・・わちれ 白女」と女性が詠んだ歌らしい。女性らしきやわらかで、細やかな恋の情景が浮かんでくる。(といっても何も内容を理解していないが(苦笑)。)
先の記事で「絵巻のケース内には 活性炭も入っている。」と書いたが、ガラスケースの密封性は木枠ゆえ、弱いようだ。先にざっと見たとき、ガラスケース内の湿度は52%、気温は19度であったが、再度見ると、湿度は1%増えていた。人が大勢出入りしているので、私が見学している間に湿度が上がっているのだろうか。
二階に昇った。展示室はこの一室のみ。公園から見えた蔵にはつながっていなかった。
「やや思ったよりも狭いな・・・」と感じた。
↓ 帰り際に撮影。展示室となっている蔵。窓があり、光も展示室内に入ってきていた。
敷地内の石灯籠と蔵。ただし、奥の蔵は展示室ではなかった。右にも蔵があり、二階(というよりも、材木を入れて二層に)に分かれ展示室としっていた。 向かって右の側面には「男爵 藤田伝三郎・・・」とあった。
(漢字は現代字体で表記した。)