すぐにでも来たいと思っていましたが、最終日の訪問となってしまいました。9月23日からの開催でしたから、会期は1か月半もありませんでした。
 ↓ お隣の公文書館には、9時半頃から10時頃までいました。下の写真は、開館から数分経過した時間帯の入口の様子。私が先に見たときよりも列は解消しています。
 チケット売り場に並びます。隣に並んでいるのは数名の女子のグループ。高校生かな?と思いましたが皆さん「○○University」と英文表示の大学名の入った学生証を用意していました。つまり女子大生の皆さんです。(当たり前だけど。笑)
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 (私が行かなかった)前期は重要文化財の「落葉」が目玉。本当は、前期後期と来ようかと思いましたが、結局後期のみの見学となりました・・・。あとから知ったのですが、前期後期両方を割引で見れる「猫チケット」が販売されていました・・・。前期、つまり重要文化財「黒き猫」の展示が無い期間でも主要な「猫」の作品を見ることができるよ、というコンセプトなのでしょう。
 展覧会は、
 前期・・・目玉 重要文化財「落葉」、主要な「猫」の作品を展示。
                  (重要文化財「黒き猫」の展示なしを補完) 
 後期・・・目玉 重要文化財「黒き猫」、主要な「落葉」の作品を展示。
                  (重要文化財「落葉」の展示なしを補完) 
 通期公開の目玉・・・・重要文化財の「王昭君」と「賢首菩薩」
 に分類されます。
 結局、私は「後期」を選択したわけです。(笑)
 重要文化財の「落葉」は、何年後になるか分かりませんが、またの機会にチャンスを窺いたいと思います。永青文庫の展覧会がどこかで開催されるときか、熊本の美術館で展示があるときに・・・。
 ↓ 「黒き猫」の告知看板。
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 会場内は、入口から混雑しています。展覧会の告知文にもありましたが、明治時代以降の近代に活躍した画家で最多の重要文化財指定作品4点(展覧会開催時)を誇る画家だけのことはあります。あの大観ですら、2点(もっとも、×湘八景は、指定は1点でも作品自体は4幅?ありますが。)の指定。洋画のジャンルでは黒田清輝の3点(湖畔、智・感・情、舞妓) 。その他、3点の重要文化財指定のある近代画家は・・・分かりません。(私は専門家ではありませんからね。笑)
 春草は、現在の長野県飯田の人。飯田の生んだ偉人といったところでしょうか。飯田市街は、二年前に行きました。(というより、下栗の里からの帰りに通過したのみ。笑)本当は、同市の博物美術館で春草の作品も見学したかったのですけどね・・・。飯田ゆかりの文化人といえば、なんといっても柳田(旧姓 松岡)国男。出身は播州なのですが、婿入りした養家は飯田。その他、ほぼ同時代の信州出身の近代芸術家には彫刻家の荻原守衛もいます。(同じ信州でも少し離れているが。)現在でも教育県として知られる長野には、学問、芸術をはくぐむ風土があったのではないかと推測されます。(独断ですが。)もちろんそこには、そうした土壌を育む経済的基盤が不可欠であるのです。(独断ですが。)山がちで平地が少ない、交通が不便、冬期の積雪など厳しい風土を克服する「何か」があるのでしょう。
 展示はほぼ制作された時代順。十数年しかなかった春草の短い「画業の変遷」をたどることができるように配置されています。説明によると春草は、結構な自信家だったようです。ひらたくいうと「俺の作品はすごい」的な発言もしていたようです。自他ともに認める才能があり、それを自ら口に出していたのでしょうか。現在の言葉におきかえると「ビッグマウス君」といったところでしょうか?。春草の性格の一端が感じられます。
 会場の比較的最初のほうに、重要文化財指定「王昭君」。音声ガイドによると、描かれている登場人物は必ずしも皆が連れていかれる王昭君との別れを悲しんでいるわけではないそうです。たしかに、打算的な目をしている女性が描かれています。冷たく、遠くを見つめている・・・。人間関係は複雑ですね・・・。今も昔も、画中も現実も。(笑)
 中盤に重要文化財指定「賢首菩薩」や落葉の作品群の展示。「賢首菩薩」は、「善宝寺所蔵」となっています。山形県にあるお寺のようです。お寺の本堂などに掲示するために当時、注文か購入をしたのでしょうか。文化財データベースのサイトによると所在地は、鶴岡市の致道博物館(つまり、鶴岡藩主だった旧酒井伯爵家の宝物などを管理する財団法人)。同博物館に寄託されているようです。落葉は未完成の作品も展示されていました。たしかに、完成作品に比べて落葉の数が描かれていません。
 終盤に「猫」の作品の展示。重要文化財「黒き猫」の前は人だかりですが、運よく最前列に潜って出る?体をくねらせて踊り出る?ことがでてよく観察することができました。音声ガイドによると、文展に出品されたときに評判を呼びましたが、すでに売約済だったそうです。すると購入主は、当時の細川侯爵ということでしょうか。
 下の子も一緒に入場(小学生は無料)したのですが、もてあましていたようです。下の子は、猫が好きなので、「かわいい猫の絵が最後にたくさんあるよ。」となだめすかしていましたが、通用しませんでした・・・。「黒き猫」を私が観察している間に、下の子は先に出ていってしまいました・・・。全体的に子供の見学者は少なかったです。しかし、他の小学生低学年くらいの子はおりこうさんに見ていました。なぜウチの子はできないのでしようか!?。(親のせいですが・・・。涙。)
 会場の最後に、春草が子供と2人で写った写真が展示されていました。この写真での春草は、いがぐり頭で子供を抱いています。病気療養のため髪は短く切ったのでしょうか。短命であった作家の生涯が偲ばれます。
 音声ガイドを聞きながら、涙ぐんでいる女性もいました。おそらく、春草の短か過ぎた生涯と残された家族に思いを馳せたのでしょう。感動的な展覧会でした。今まで見た展覧会の中でも一番感動しました。
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 会場を出たところでは、ツレが不機嫌そうに待っていました。「遅い。」と。図録を買おうと思って売店に行こうにも売店付近までついてきて、カナ切り声を上げて文句を言っています。本当に公共の場で迷惑・・・、 せっかくの感動的な良い展覧会を台無しにしてくれました・・・・・・。