開館記念特別展「中村屋サロン-ここで生まれた、ここから生まれた-」
 この日は聖ヴァレンタタインデーの夕方でした。
  
  美術館の入口は三階。エレベータを降りると旅行代理店のブライダル旅行サロンがあり、店の入口には「ウエディングドレス」が飾ってあります・・・・。代理店の入口にはドアがないため、お店の中の様子がよく見えます。いわゆる「オープンカウンター」でしょう。数組のカップルで来店して奥のカウンターで話をしています。。
 店頭に飾ってあるウエディングドレスの脇には、黒いパンツスーツを着た女性社員とスーツ姿の男性社員が二、三名立って、来客の出迎えをしています。美術館に行く人はここの目の前を通り過ぎて、同一フロア奥の美術館に行かないといけません。(汗) 
 代理店の社員も心得たもので、エレベータから降りて来る人を一瞥して美術館に行く人は、瞬時に「コイツ違うな」と判別して「いらっしゃいませ。」とあいさつする人、しない人を区別にしているようです。(笑)
 モロチン私は、「あいさつしない人」の一人です。(笑)というよりは、「あいさつすべきでない怪しい風体の人」??。(笑)

 美術館の入口には、扉はありません。エレベータホールから美術館の看板と受付とその奥に展示されている作品が見えます。入りやすい「オープンな美術館」をめざしているのでしょう。
 決して、ウェディング旅行サロンのオープンエントランスに対抗しているわけではありませんね。(笑)
 もう一度ご案内します。「手前がブライダル旅行『サロン』。奥が『サロン』美術館です。(笑)」
 DSC01545↓ 美術館のパンフレット。



























 
 入場料300円を支払い、入ります。小さな机のみの受付です。
 入口近くの壁には、高村光太郎の『自画像』が。有名なブロンズ像『手』の展示もあります。
中村屋ゆかりの作家ごとに展示があり、人物の解説があります。戸張孤雁、柳敬助、中村不折らです。戸張孤雁、柳敬助についてはよく知らなかったのですが、自画像や夫人の肖像画の展示があり、その人物、画業について知ることができました。中村不折は、夏目漱石の伝記でも必ず登場してくる親しい友人ですね。作品には「碌山美術館蔵」のものも多いです。荻原守衛と新宿中村屋の深い繋がりを感じます。

 更に奥へ進む廊下があります。廊下を抜けると、細長い展示室に出ました。新宿中村屋サロン集った芸術家たちの相関図が掲示されています。入って右には、守衛の『女』のブロンズ像の展示がありました。1970年代に鋳造されたものと解説がありました。
 その中で、中村彝が中村屋主人の長女 相馬俊子に求婚したと点線があります。しかし、俊子はインド人のボースと結婚したとあります。
 今回のオープン記念展覧会ポスターにも写真が掲載されていてメイン作品の「少女」のモデルはこの俊子だそうで、これまたびっくりです。実らなかった恋心なのでしょうか?。中村彝もまた、荻原守衛と同じく若くして死去していますが、この時代の若年での死の原因は、当時の国民病『結核』だったのでしょう。病気でなかったら結婚していたのかもしれませんけど。なぜ、結ばれなかたのでしようか・・・。
 『少女』のモデルの俊子は、ふくよかで健康的な体つきであり、どこか『ルノアール』の画に描かれている女性達を連想させます。さらに時代をさかのぼれば、リューペンスのような(というのは大げさかな・・・・。)
 当時、俊子はなんと10代なかばの若さで、今でいうと中二か中三くらいでしょうか・・・・。しかも、俊子は当時ヌードモデルにもなって彝らが裸体画を残しているそうです。相関図によると、俊子も20歳台の若さで亡くなっています。この裸体が俊子の通っていた女学校に知られることろとなり、彝とトラブルになったとか・・・・。結婚できなかった理由はここにもあるとか。まさに「悲恋」です。
 俊子は他の男(インド人ボース)と結婚したものの病気で早くに亡くなり、彝も結核に倒れ・・・・『ああ・・恋とは・・・』。(絶句)

 全然関係ない話ですが、実は私の知っている女性で、この『少女』象に描かれたモデルに似ている人がいます。その人は、まだ20歳台で私より全然年下の会社員です。しかも長野県出身です。(ただし安曇野出身ではない。)もしかしたら、遠縁???かと思いましたが、そんな訳ありませんね。私が想いを寄せてもその人への想いは・・・・・、成就することはありませんね(笑)。ボクも「悲恋」です(笑)。
 その女性はFBをやっているそうです。せめてFBでお友達に・・・と思っても、私はFBをやっていません。仮にFBで私のサイトが炎上したら困りますからね。(笑)

 ふざけた話はさておき、中村彝の『麦わら帽子をかぶった自画像』の展示がありました。今どきの青年風です。別の作家、鶴田吾郎の作品で「盲目のエロシェンコ」がありました。同一人物をモデルにした中村彝の『エロシェンコ氏像』はいうまでもなく、重要文化財に指定されていますね。
 その他は会津八一や中原悌二郎らの作品がありました。 
 限られた展示スペースですが、近代日本美術を代表する芸術家達の作品が凝縮された見応えのある展示でした。

 ↓ 地下街入口にある看板。ポスターと同じく 中村彝(ツネ。漢字が出ないかも)作 「少女」の写真が。
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