2015年1月11日

 東京国立博物館の黒田記念館がこの1月2日からオープンしました。特別展示として黒田清輝の重要文化財指定の絵画が展示されています。
 階段を二階に上がり向かって左へ。特別展示室に重要文化財指定の作品の展示があります。1月に2週間くらい公開があり、次回は4月のようです。今後は、年三回の公開をするようです。
 黒田清輝。 近代以降の日本では一番有名な洋画家と思います。記念館内にもブロンズの胸像や写真の展示がありますが、その風貌はまるまると太っていて、恰幅のよい体格。画家というと芸術家気質でやせ形とはイメージとして思いますが、黒田清輝はどこかの好爺爺といった感じ。政治家や商家の旦那といった感じです。
ただ、あまり長命な人物ではありませんでした。
 明るい、西洋の印象派の作風を思わせます。「花鳥風月」の日本人好みです。明るいタッチの作風は当時の日本の画壇の主流となったのでしう。たしか藤田嗣治は、東京美術学校時代に当時西洋画科教授であった黒田清輝の画風、というか指導?に反発したはずです。 

「湖畔」
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 「読書」 教科書では一番多く写真が掲載されている作品ではないかと思います。意外にも重要文化財指定ではありません。同じ女性をモデルにした絵が黒田記念館二階の別の部屋(常時公開している展示室)に展示してありました。
 
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 重要文化財「智・感・情」の三連作。
 黒田清輝の重要文化財指定作品の中では一番大きい。女性の等身大ではないかと思われる大きさです。
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 この絵のモデルの女性は、清輝の妻でしょう。
 顔の表情が他の絵(つまり「湖畔」)と同一です。
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 当時としては、ヌード画は許されたのかと思いましたが、解説文を読むとかなりのセンセーショナルを巻き起こしたような。近代国家として歩み始めても、芸術としてのヌード、裸体画は受け入れられなかったのでしょうか。日本人の思考、文化というのは何とも分かりにくいです。
 「見ざる、聞かざる、言わざる」の三すくみ??を描いたような。日光東照宮の三猿の彫刻を思わせるようなポーズです。西洋哲学と日本の古来の思想を融合させた、何かを訴えるような三部作です。


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 「舞妓」。
 説明によると、たしかモデルは鴨川のほとりのお座敷のようです。人物のモデルとなっている舞妓さんは、まだ10代半ばくらいの年齢でしょう。現在では中学生か高校生くらいか。いや、高校生の年齢もむいかないのは?。舞妓さんは今でもいますが、当時とは「舞妓さん」のシステムが全く違でしょう。現代感覚ではとうてい考えられません。少女のあどけなさが残ってます。はたしてこのモデルとなっち少女のその後の人生はどのわうなものだったのでしょうか。画面右は、かむろの稚児なのでしょうか。

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 [既出] 黒田記念館の正面入口付近 概観
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