「SEIKI、ステキ!」、「世紀のSEIKI!」、これは私が勝手に考えたキャッチフレーズです(笑)。

 きたる2016年3月23日から5月15日まで、東京国立博物館で黒田清輝(SEIKI)の作品を集めた特別展が開催されます。特別展のポスターを見るとキャッチコピー?は「教科書でみた。ホンモノをみた。」です。
 今日は、その黒田清輝の特別展(以下「本特別展」といいます。)のご紹介です。(本来、私がここで行うことではありませんけどね・・・・・・・・・(苦笑)。)

 すでに、昨年の一月に「黒田記念館」が修復(リニューアル)オープンし、無料で彼の作品を鑑賞できます。「無料」で見れる点が大きなポイントです。博物館の本館や平成館などとは別の敷地にあるため、ぶらっと行って自由に無料に見学できます。
 黒田記念館の特別展示室には、重要文化財指定の作品をはじめ、清輝の有名な作品の展示があります。記念館の別の展示室と異なり、1月、4月、10月の年三回、各々二週間ずつ期間限定の公開をするようです。私も特別展示室には昨年の1月に行き、その後(特別展示室の閉室中に)同館の常設展示室には、二回くらい行きました。

 本特別展のポスターの説明によると東京国立博物館での黒田清輝の本格的な回顧展は初めてとのこと。彼は、近代日本で最も有名な西洋画家であるのに「初めての本格的回顧展」意外です。
 しかも、国立近代美術館での開催ではありません。理由のひとつは、ここ東京国立博物館(東京文化財研究所も含む)が清輝の有名な作品を多数所蔵していること(に起因する)でしょう。なぜ、清輝の作品が東京国立博物館(東京文化財研究所も含む)に多数所蔵されているのか?。理由のひとつは「森鴎外記念館」でも展示があった鴎外が帝室博物館館長時代に撮影された「鴎外や清輝、竹内栖鳳が写っている会議の様子の写真」に求められるでしょう。この写真、文京区千駄木の鴎外記念館、津和野の鴎外記念館の両方に展示されていました。
 生前、彼が帝室博物館に深く関与していたことが大きな理由と思われます。
 
 本特別展では、重要文化財指定の作品がすべて展示されますし、主要作品が多数展示されます。

 「教科書でみた。ホンモノをみた。」の言葉通り、確かに(展示作品の)「読書」は、教科書では一番多く写真が掲載されている作品ではないかと思います。しかし、意外にも重要文化財指定ではありません。
 同じ女性をモデルにした(と思われる)絵が黒田記念館の二階の別の部屋(常時公開している展示室)に展示してありましたね。本特別展でも展示されるとのことで、(その作品の)写真の掲載がポスターにあります。

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重要文化財指定「湖畔」

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 重要文化財「智・感・情」の三連作。
 黒田清輝の重要文化財指定作品の中では一番大きい。女性の等身大ではないかと思われる大きさです。

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この絵のモデルの女性は、清輝の妻でしょう。
 顔の表情が他の絵(つまり「湖畔」)と同一です。

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 当時としては、ヌード画は許されたのかと思いましたが、(黒田記念館特別展示室内にあった作品の)解説文を読むと、かなりのセンセーショナルを巻き起こしたそうです。近代国家として歩み始めても、芸術としてのヌード、裸体画は受け入れられなかったのでしょうか??。
 日本人の思考、文化というのは何とも分かりにくいです。この作品は「見ざる、聞かざる、言わざる」の三すくみ??を描いたような・・・・・・。日光東照宮の三猿の彫刻を思わせるようなポーズです。西洋哲学と日本の前近代からの思想を融合させたかのような、何かを訴えるような三部作です。


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 重要文化財指定 「舞妓」。
 (黒田記念館特別展示室内にあった作品の)解説文によると、背景は鴨川の水で、鴨川のほとりのお座敷が作品の「舞台」でした。

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 写真で見ると、どの作品も同じ大きさに見えますが、実は「智・感・情」がずば抜けて大きいです。
 今まで、無料で見ることができ、(フラッシュ禁止などの条件もあるが)写真撮影も可能である作品が本特別展の中核をなしています。本特別展では、写真撮影は可能なのでしょうか?。現段階では分かりませんが、過去の例でいうと、特別展では写真撮影禁止です・・・・・。
 この記事で上に写真を掲載した作品は、いずれも2015年1月の公開中に黒田記念館の特別展示室で撮影してものです。

 他の美術館からも清輝の作品が展示されます。「失われた清輝の作品」の写真が展示され、清輝が影響を受けた当時のヨーロッパの画家の作品も展示されるなど、本特別展の付加価値を高めています。更に、(教えを受けた)同時代に影響を受けた日本人画家の作品も展示されると、本特別展のウェブサイトにあります。

 その作品のひとつ、浅井忠の「春畝」 ↓
  昨年だったか、一昨年だったか忘れましたが、作品のタイトルに合わせて春の季節に東京国立博物館の近代絵画のスペースに展示されていました。

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 ↓ 今回展示される他の画家の作品、青木繁の「日本武尊」。
   昨年の暮れに展示されていたときに撮影しました。

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 浅井忠「春畝」、青木繁「日本武尊」共に東京国立博物館所蔵のいわば「プロパー」作品ですね(笑)。