2016年5月21日

 東京都美術館で、「生誕300年記念 若沖展」を鑑賞(見学)した。
 

 「鳳凰図」の対と思われる「孔雀図」、現在宮内庁所蔵の「旭日鳳凰図」を混雑の中やっとのことで鑑賞。
その先、角を曲がったところの壁には水墨画の「虎図」がある。例の丸い顔のお目目の大きいトラさんの絵。色彩画の虎図の方が有名だが・・・・。水墨画の「虎図」は昨年のサントリー美術館の「蕪村と若沖展」でも見た。

 観覧者の状況としては、意外にも若い人が多い。土曜日の夕方であることも理由のひとつだろう。と、若い学生か20歳前半~半ばくらいの茶髪の女の子の二人組があるガラスケースの前で鑑賞している。混雑の中、壁にかかる作品を群集の後方で見ようとしながら「あー、おしりが痛ぁ~い。」と話している。彼女達はやや小柄なので、群衆もまれ、ここまで立って並んでいくうちに腰から下の足にかけての体の部位が痛くなってしまうのだろう(笑)。
 先の入館前の行列で前に並んでいた、赤いトレーナーのカップルがいた。別の人としては、ソパージュ髪で派手な感じの身長162センチくらい人(女性)がいる。連れの男性と一緒に見ている。
 他方なぜか、この混雑の中リュックを背中に背負うが・・・。身長は158センチくらいで一人行動の女性だった。これら女性達は、ともにジーンズをはいている。リュックの人は、ちょっと雰囲気が違うというか、動きが速くて鋭敏。そういう人は、ぐぐっと列に割りこんできたり・・・・・・、背中のリュックが他の人に当たることも気にしなかったり・・・・。こういう人、いますね(笑)。
 若い一人行動の女の子、20~30歳台の女性もちらほらいる。ブルー色の目立つパーカーをはおる女の子は、私とほぼ同じ速度で進んでいた。やや茶髪で20歳台半ばから後半くらいかな。一人で来ているようだが、モチロン本当にそうかは分からない。
 若い人に比べて、更に年齢の低い子どもの観覧者は少ない。小学生の子はわずかだ。時間帯のせいもあるが・・・・。高齢者の割合は低い。が、若い観覧者の多さ、といえば、昨年の秋に同じ都美で見た「モネ展」と比べると若沖展の方がモチロン割合は少ない。

 更に進むと「花鳥版画」シリーズの展示があった。特にオウムの版画は有名なので、写真などでも見たことがある。有名な「鸚鵡図」は、カゴの中のオウムを表現した版画。「下を向く、白いオウム」の絵。オウムが飲む水の容器も描いている。身近に飼育していた観賞用のオウムを写生したのだと感じた。若沖の家の縁側にトリカゴがあったのだろう。「引きこもり状態で絵を描いていた」といわれる若沖は。身近にある観賞用の鳥や鶏を写生したのだ。

 地下の展示室から、一階の展示室へ移動する。窓が無いので、いつも一階から二階へ移動と勘違いしてしまう・・・。
 大きな部屋の正面に、「釈迦三尊像」3幅と「動植綵絵」が向かって右に15幅、左に15幅、合計で30幅展示してある。
 部屋の入口には簡単な解説ボードが壁に掲示されている。
 相国寺での毎年6月17日の法要「観音懺法」について説明があった。展覧会の年賦には「閣法懺」とある。
西暦でいうと1769年、若沖54歳のときに相国寺方丈に吊り下げをして参拝者に公開したそうだ。
 では、当時の吊り下げする順番はどうであったか?。方丈の正面には「釈迦三尊像」を吊り下げたことまでは、ボクでも分かります(苦笑)。
 今回の展覧会での陳列順は、ある年の順番を再現したものなのか?、という疑問について音声ガイドでの解説にあったのかは、知らない・・・・。

  展示室では、向かって右の手前には「紅葉小禽図」の展示。燃えるような朱色のモミジの葉と小鳥の絵。こちらは、二年前の秋に三の丸尚蔵館の「美を伝えゆく」で展示があった。
 今回の展覧会ではこの「紅葉小禽図」が右手前にあった。順路は、左から時計まわりに見て行くようなのだが、実際には、誘導はなく、自由に見ることができる。楕円形に壁を仮設して展示室。厳密にいうと、相国寺の方時丈を再現するならば、長方形なのだろうか、ここは混雑が元々予想される展覧会。楕円形で、スムーズな導線で誘導するのですね。
 不思議なことに、観覧者は反時計まわりに見て行っている。競争の「トラック」を回るときと同じ周回方法(笑)。心臓を中心にして周回するのは、もはや人間の本能なのか。

 私は、まず正面の「釈迦三尊像」を見る。正面付近はすいている。向かって右、「紅葉小禽図」から見ていく人が、ちょうど真ん中の「釈迦三尊像」の前にやって来る通過点に当たる。
 向かって右の中ほどにある「群鶏図」の前が混雑している。一番有名な絵ですね(笑)。

 ↓ 宮内庁三の丸尚蔵館「美を伝えゆく」の図録より。 平成26年。
   「紅葉小禽図」と「群鶏図」の二点が展示。このときは、無料で見れた。

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 「釈迦三尊像」を見た後、「紅葉小禽図」の所に戻り、本能に従い(笑)、向かって右の展示を順番に見て行く。次に「魚の図」が二幅ある。 見ながら「タコさんがいるよ」小学生低学年くらいの子供に声を掛けているお父さんいる。淡水のほとりと水中の生物を描いたようだ。写生しているかの如く細密である。続いてニワトリ(鶏)を描いた細密な絵がある。

 「釈迦三尊像」の近くの右側には、孔雀図がある。先ほど見た「鳳凰図」「孔雀図」と酷似している。色彩は先程見た絵の方が、豊かだが、「動植綵絵」シリーズの孔雀のようが、色合いはやや暗いながらも洗練しているかのように感じた。「対」となる絵は「鳳凰図」だ。「釈迦三尊像」の左側にある。パンフレットにも載っている「人のような顔をして、尾っぽにハートマークがいくつかある鳳凰の絵」だ。
 先程見た宮内庁蔵「旭日鳳凰図」とも似ているが、違う。尾の「ハートマーク」がこちら「動植綵絵」の鳳凰図は、特徴的だ。

 ↓ 今展覧会のバンフレットより。

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  「釈迦三尊像」は、「平安藤汝・・・拝写・・・」と、仏画を写したことが分かる。説明文によると「張・・」の仏画のようで、中国、朝鮮半島の影響を受けている仏画だそう。何か、日本のそれとは、異なる、表情が鋭いというか、「和風」ではないなと思っていたが、色彩や描写がリアルすぎて(私にとっては)ややグロイかな。
 真ん中に「釈迦如来」
 向かって右に「文殊菩薩」
 向かって左に「普賢菩薩」
 の展示がある。
 「普賢菩薩」には絵の左側に落款と「平安藤汝・・・拝写・・・」の文字がある。つまり、元々左に安置するように描かれた。「文殊菩薩」は右側に落款と「平安藤汝・・・拝写・・・」の文字がある。
 「釈迦如来」はもちろん真ん中。「文殊菩薩」の右側には落款と「平安藤汝・・・拝写・・・」の文字がある。


 「群鶏図」の反対側の展示作品(つまり、トイメンさん)は、「紫陽花群鶏図」、ひし形のような形状のマスで紫陽花の花びらを表現している。水色のような青い色と白い花びらの紫陽花だ。「・・・居士若沖造」と書き込みがある。
 「紅葉小禽図」のトイメンは「桃花小禽図」。展示室を入って「左」にある。文字通りピンク色の桃の花と小鳥を描いている。「秋」に対して「春」が表現されている。
 展示室入口の簡単な解説ボードには、絵が「対」になっているとこは説明が無い・・・。音声ガイドには(説明が)あったと思うが・・・。が、振り返って、絵を比較して見ている人は、あまりいなかったような・・・。

 展示は、別の部屋への通路と続く。