10月30日(日) 
 「東京国立博物館」 特別展「禅」にやってきた。この日の気温は、最高でも13度と少しだった。曇天の寒い日だった。
 
 私にとっては今年の春に開催された「春の京都禅寺一般公開」in京都と、京都国立博物館での特別展「禅」「後期展示」の続編である(笑)。
 京都での最大の目的は「雪舟の水墨画」である「彗可断臂図」(えかだんぴず)の鑑賞であった。無事に鑑賞できた。さて、夏が過ぎて秋になり、気温も随分と下がってきた。東京での「禅」展では、「京都展」で鑑賞できなかった作品や「東京展」のみの展示作品の鑑賞である。

 15時15分くらいに平成館に行く。特別展の入場前に映像コーナーで特別展の紹介映像を視聴。映像はは35分あるので、結構長い。
 まずは、禅の歴史、達磨大師のことについての解説。岩壁を向いて坐禅している「達磨」に、振り向いてもらえるように腕を切ってしまった「だんぴ図」の解説がある。達磨が「一祖」で、その弟子の腕を切り落としたという「彗可」が「二祖」。三祖から六祖までの説明があった。
 だが、館内は暖かく、暖房が効いている・・・・。この日は、上記の通り、寒い日だった。よって、やや厚着をして出かけたのだ。不覚にも映像の途中で、あまりの暖かさにほてったのか、寝てしまった・・・・・・・(笑)。
 時折、目を覚ます。映像には、各寺院の紹介もある。建長寺など禅宗の寺の説明がある。最初に寺の門など、その寺を象徴する映像が流れ、次いでその寺の解説ナレーションがある。
 映像は途中から見たが、映像番組の最後近くでは岡山の「曹源寺」の紹介があった。多数の外国人が修行を行っている様子だった。曹源寺は、岡山藩主池田家の国元での菩提寺だったはずだ。

 あるタイミングでハッとおきて、目を覚まし、「あらら、寝過ぎたぞ・・・。」と思いつつ、約35分映像を視聴した??ので、15時40分頃に会場に入る。
 入場に際して、年間パスポートは使用できた。京都展とは別のスタンプなのでOKのようだ。つまり、東博の年間パス(安い方!)が「東京の禅展」見学に、京都とは「別の特別展」と扱いされて使用できた。ちょっと心配だったが、入場できた(笑)。 この数か月間、(入場出来るか、出来ないか)心配していて損をしたかな(笑)。

 二階にエスカレータを上がる。音声ガイドを借りる。

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大きな固定式のパネルに全国各地の禅宗寺院の写真が印刷されている。京都の寺院だけではなく、臨済宗でいえば神奈川の建長寺、円覚寺、広島の仏通寺などの本山のお寺の写真があった。曹洞宗の大本山といえば、総持寺、永平寺だが、実際に写真が印刷してあったかは、探しきれなかった。

 最初にあの写真にもなっている達磨の絵。

一章「禅宗の成立」の展示
 次いで、山梨の寺所蔵、国法の達磨像の展示。朱色の衣をまとっている。

 建長寺所蔵、北条時頼の木造があった。幅が引く、足のころもが左右にとんぎっている。真っ黒な上杉像は鎌倉国宝館で見た。 時代は違うが似ている。「宝物風入れ」では寺に戻るのかな。

 途中から、展示は、寺ごとの箇所もある。「東福寺」「建仁寺」や他方の本山、仏通寺もある。龍光院の金剛はんがあった。前回は見ることができなかった。 まずは、禅宗の高僧や達磨の絵などの展示


 旧大仙院の障壁画「禅宗祖師図」は、中国の高僧の水墨画で、狩野元信の筆。かなり古い時代の作品。重要文化財で東京の国立博物館で展示されていることがあった。山水図など別のシーンだったと思うが、覚えていない。このとき、撮影は可能だったので撮影した記憶はある。
 三階は第一章「禅宗の成立」の展示。展示リストには、ここのカテゴリーの展示作品として雪舟の「慧可断ひ図」(一部漢字が不明)のあるはずだが、展示は無い。


 第二章「臨済禅の導入と展開」となる。
 
 二階は奥に位置する「特別室」から見て行く。ここには、僧侶の絵画像などが展示されている。特別室での二番目くらいの展示に「宗峰妙超像」がある。重要文化財。同じ僧の像でも国宝の展示期間は、すでに終わり後期は重文の展示。つまり大徳寺の「大燈国師」の画像のこと。昨年10月の大徳寺本坊の「曝涼展」で拝観の際に「国宝」の画像は鑑賞した。よって、敢えて後期に来たのだ(笑)・・・・・・・冗談だが。
 今回展示されている重文は「妙心寺の所蔵」。しかし、重文といっても国宝の大燈国師像とほとんど変わらないような・・・。あの、タレ目で、ふっくらしたお顔で、特徴的な坊主頭の頭頂部の国師の像。生前の国師の風貌をよく伝えているのではないか。
 以前購入した「大徳寺曝涼展」の図録を改めて見てみると「国宝」は後醍醐天皇の「勅賛」があるので、大変貴重なのだろう。



 大徳寺の図録によると、国師と天皇は、密接な関係にあったことが書いてある。
 同じく宗峰妙超(大燈国師)の墨跡の展示がある。「関山」道号、国宝。これも妙心寺の所蔵。右から「山 関」と力強く、ふとがきしている。
 続いて、夢窓疎石の肖像画の展示がある。天龍寺の開祖で著名な人物。袈裟を着た普通の僧侶の姿だが、衣の色などで、位が分かるのでしょう。、夢窓疎石の随筆も展示があった。「天龍寺臨幸私記」。墨跡もあった。「太上天皇 持明院殿・・・・」とあったような。太上天皇とは、後醍醐天皇のことであろうか。天皇の追悼の意味を込めて書いたのだろうか。 

 鎌倉時代、南北朝時代の禅宗が日本で発達した時期りの展示からスタートし、室町、戦国時代へ時代が下っている。
 
 展示室を見ていく。「足利義満像」がある。教科書で見る絵と同じような、違うような・・・。子の四代将軍の「義持」の賛文がある。義満没後77日忌に描かせたそうだ。
 将軍 義満とのエピソードが伝わる「一休宗純」の像もある。重要文化財。普段、歴史資料などて見る一休の像は、この写真である。自賛している。賛文は「臨済子孫不知・・・」のような文字が。「××を知らないが、・・・・」というような文章か。下の署名欄のような箇所には「三十年大徳禅寺 天下・・・」とある。
 一休宗純墨蹟のうち「遺誡」には「老僧身・・・」、やはり「大徳禅寺」とある。老境に達した一休が色々と教えを遺したのだろうが、この人「老いてもますます御盛ん」の「オキテ破りの僧侶」としても有名だが。あっしも、あやかりたいものだ・・・・・・というのは、冗談(笑)。
 


 全国各地の禅宗寺院の紹介がある。写真が壁に掲示され、ガラスケース内部にゆかりの宝物が展示されている。かつての「都」の寺院だけではなく、臨済宗でいえば「武家の都」、鎌倉の建長寺、円覚寺などの本山のお寺の写真があった。曹洞宗の展示は無い。特別展のサブタイトルの通り今回は「臨済宗」の展示が基本。
 
 京都展では、その事実に気付かず、「あれ、曹洞宗の寺院」はどこかな、と探してしまったのだ・・・・。
 が、映像で紹介された岡山の曹源寺は、曹洞宗の筈だが・・・・。