2017年4月2日 特別展「雪村」-奇想の誕生- 鑑賞2 東京芸術大学美術館
 
 戦国時代を生きた謎の画僧「雪村」の展覧会。東京芸術大学美術館  三階の展示室から見学を開始した。
 展示室に入って正面のパネル壁の展示は「夏冬山水図」(京都国立博物館 所蔵)であった。
 険しい山と峡谷に挟まれ、唐風の家屋が書いてある絵・・・。薄い彩色がされている。「雪村筆」と署名があり、朱肉で落款が押してある。
 この作品、雪舟の「山水図」に似ているのだ。私が知っている雪舟作品は少ないが、東京国立博物館所蔵で時折展示される国宝の「秋冬山水図」二幅の作品に特に似ていると感じた。当時の「山水図」は皆同じように明国や宋、元(当時)伝来の作品をモチーフに描いていると推定されるので、皆似ていると言ってしまえばそれまでだが、雪村自身はこの作品を描く前に雪舟の作品を見たことは、あるのだろうか。
 「書画図」 大和文華館 蔵
 題名は後年付けられたのだろう。童子が描かれているが、実際は男たちが屋外で酒を飲んだりする宴会の場面。

 展示室内は、鑑賞者が多い。どの作品の前にもまんべんなく鑑賞者がいるくらいの人数。若い人も多いのだ。美術を学ぶ学生かな。学生は女の子の方が多い。40歳くらいの女性と白髪60歳くらいの男性が手をつないで鑑賞していたり・・・・。世代はどちらかというと、若めではないか。

 第2章 小田原・鎌倉滞在-独創的表現の確立
 解説によると雪村が小田原、鎌倉に滞在したのは50歳を過ぎてからのこと。以前は記録がないらしい。修行中であったか、高名でなかったので、実際には行き来していたが、記録が残っていないかいずれかだろうか?。

「蕪図」・・・大根がうまっている様子の絵。どこか、後年の若沖の水墨画「野菜の涅槃図」を思わせる。
 「雪村筆」と作品中にある。どこか「雪舟筆」と見間違えてしまう。雪舟は現在、国宝指定の作品にも「雪舟筆」と記しているし・・・・。
 別の作品「列子御風図」 アルカンシェール美術財団 所蔵 では画中、左上に「雪村老筆」と書いている。

↓ 特別展パンフレットの拡大。

DSC00027


 「竹林七賢酔舞図」 メトロポリタン美術館所蔵 タテに長い描け軸の絵
 竹林七賢の老人を「賢く」表現するのが、このシリーズの作品の常識であろうが、この作品の画中の人物はどこか滑稽だ。杯を手に持って差し出した頭巾をかぶる老人が、酔っぱらって踊りながら、楽しそうにしている。周囲では太鼓?などをたたいて音を奏でている。「ヤレ唄え、ホレ唄え」という声が聞こえてきそうだ。
 解説によると、この「手に杯を持った老人」は「雪村」その人の自画像といわれているそうだ。
 殺伐とした戦国の世にあっても、酒を飲んで謡い踊る、ユーモアも分かる人物であったのだろうか。
 メトロポリタン美術館所蔵なので、今回里帰りしたのだろう。巨大なメトロポリタン美術館所蔵では、ほとんど展示される機会は無いと思われるので、鑑賞できる機会を得たのは貴重かもしれない。(アメリカでの展示実績などの解説は無かった。)

 「百馬図帖」 鹿島神宮 所蔵
 馬の絵を奉納している。馬の頭の部分を拡大し、数頭が並んでいる様子の画。神社に奉納しているので画中に「奉」と記している。雪村は鹿島神宮にも滞在したと年賦にあるので、このときに奉納したのだろう。現在まで500年間近く、同じ鹿島神宮に保管されているとは、驚きだ。

第3章 奥州滞在-雪村芸術の絶頂期
  
 重要文化財 大和文華館所蔵 「呂洞賓図」は三階の展示室りの一番奥の突き当りにあった。
 展覧会のポスターの表紙写真にも採用されているので、今回一番の目玉作品であろう。展示は4/30まで。
 「りょ どうひん」と読むそうだ。
 龍の上にのっている、上を向いた人物の画・・・・。解説文には「ありえへんくらいに首を折り・・・」とは解説していないが(笑)、風に吹かれながら、髭までもピンとなびかせて、何かパワーを発散している感じの絵。見上げる左上にも龍がいる。左下には「雪村筆」と記してある。
 解説文によると「風を どうひん がおこしている・・・・」とあったように記憶する。あるパワーで、風を読んでいるのだ。邪気を払うかのような力強い絵だ。が、これは密教の考え。
 現代でいう「嵐を呼ぶ僧!!」かな・・・、というのは違うようだ。当時は禅宗が主流であった筈なので、説明文によると禅問答をしているそうだ。「龍」の美術では欠かせないものだし。

 ↓ 特別展パンフレットの拡大。 「呂洞賓図」

DSC00029

  別の「呂洞賓図」もあった。展示目録には、所蔵者が書いていない。つまり、東京芸術大学の「自己所有」作品だ。解説によると「今回、準備段階で存在が分かった 初公開」の作品とのことだった。

↓ 特別展パンフレットの拡大。

DSC00026

 展示リストを見ると、東京芸術大学所蔵がいくつかある。所蔵品を持つ館、施設としては多い方。やっと、今回「雪村展」がここ東京芸術大学美術館で開催された理由が分かった(笑)。が、一番多いのは、個人だ。
 龍の上の乗る画といい、禅の文化、思想を基に表現しているが、風の動きをよく捉えている。風が漣(さざなみ)のように立っているのが、印象に残った。

 展示を見ていく。
「昭和49年に切手のデザインとなった」という作品があった。
重要文化財 東京国立博物館 所蔵 「松鷹図」。2幅あり、大きい画だ。上を向く鷹と、下を向く鷹の屏風?が対(つい)になっている。説明文によると「別人の作の可能性がある。」とあった・・・・・。
 
↓ 三階にある休憩の部屋から外を撮影した。鑑賞した2017年4月2日 撮影。
 芸大付近の桜は、まだ咲いていない。

IMG_0416

 
 どうでもよいのだが、下は「二年前」に同じ部屋から撮影した写真(苦笑)。

 ↓ 休憩の部屋から外を撮影。校門が見えます。2015年4月撮影。
   二年前は桜の盛りは過ぎていた?。
  本当に下の写真は二年前の写真です。今回撮影したものでは無い、といっても信じてもらえないかもしれないが(笑)。

IMG_2336