6/4(日) 東京国立博物館

 最終日を迎えた特別展「茶の湯」の会場に行く前に常設展(総合文化展)を鑑賞した。

  いつものパターンで、先に本館を見ることにした。特別展の見学には時間がかかると思い、余裕をもって入館したので(笑)、まだまだ時間があるため本館の総合文化展を見てから、廊下を伝って平成館へ行き、その後平成館の特別展を見る予定。

 常設展(総合文化展)の二階の展示室をざっと見てから、一階に降りる。近代の展示室に入る。特に注目したのは今村紫紅「近江八景」だ。重要文化財に指定されている紫紅の代表作だ。
 今村紫紅の日本画 「近江八景」は、ここ東京国立博物館所蔵の重要文化財なのだが、今まで見たことは無かった。紫紅の重要文化財指定作品を見たのは横浜美術館で見た「横山大観展」が初めてであった。
 紫紅の「熱国の巻」の片方が展示されていたのだった。その後、昨年であったか、ここ東京国立博物館の総合文化展の近代の展示室で「熱国の朝」と「熱国の夕」の両方を鑑賞する機会に恵まれた。「熱国の巻」は両巻とも鑑賞コンプリートしたので(笑)、「近江八景」の展示を待望していたのだ(笑)。

 ここ数年鑑賞の機会を探っていたのだが、私が展示機会を逃したのか、又は数年間展示が無かったのか、定かではないが、今回展示されていた。
 題名の「八景」の文字の如く「8幅」ある。(単位が間違っているかも。「点」と単位付けした方がよいかな。)
 ガラスケースの中に8幅が整然と並んでいる。
 一番、目にとまった作品は↓ この作品。

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 作品ごとに名称の表示がある。上の作品は「比良山」。「近江八景」のうちの「比良山」。
 空と琵琶湖の湖水の青、そして画面中央上部にもくもくと広がる白い雲が大変印象的だ。山脈には白い雪のような白がある。季節は夏なのか、冬なのか?。入道雲のようなダイナミックな雲と雪をかぶった山脈・・・・。
 両方を同時に見ることはできないのだが・・・・。
 ともかく、現代においても琵琶湖の大津や草津付近から見上げる比叡山系の比良山地は湖面から屹立するようにそそり立っているので風光明媚である。断層帯でニョキニョキと山地が上に伸びているのだ。琵琶湖が世界最古の断層湖のひとつといわれるため.、この景観が成立しているともいえる。
 そして湖面には魚をとるための「簗」というのか、仕掛けがある。定置網というのだろうか?。モロコが代表的な琵琶湖の魚であるが、モロコの追い込み漁のための仕掛けだろあうか?。琵琶湖の伝統的な漁法だろう。

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  重要文化財指定作品マークのある解説文。
 「琵琶湖畔の名勝八景を従来の観念にとらわれず描く。西洋絵画の影響を受けているのは明らかであるが大正元年の夏に湖畔を旅して歩いた折の・・・・」とある。
 雪山?にかかる夏雲と夏を思わせる湖水の明るさと伝統漁法の様子は、確かにどこか西洋画のようだ。

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 ↓ 瀬田の橋であろう。現在の大津市、琵琶湖から瀬田川が流れ出すところの風景か。
  「瀬田」。右が下流かな。すると手前の家々は膳所の街かな。

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 「堅田」 有名な浮堂を描いたものかな。湖水の対岸は、現在の近江八幡市かな。
 対岸が近い。現実とは異なる独自の描写である。

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 三井寺の石段であろうかと思った。「三井の晩鐘」であろうと推定したが、「石山寺」の「石山」。
 瀬田のやや南、瀬田川の流を見下ろすかのような立地のお寺である。近くを通過したことはあるが、参拝したことは無い。道理で鐘は描かれていない筈だ。
 
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 「矢走」 画中の丸い山は、先の比良山ではなく、近江富士を拡大で描いたと思われるが違うかな・・・・・。
 漁夫の姿が描かれている。大観の「蕭湘八景」のうちの1点の絵に何となく似ている。
 大観が表現したトンチン湖での舟の様子にも似ている。 

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 「唐崎」
 枝の伸びた松が印象的。
 
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 「粟津」
湖水を走る帆舟と手前の緑の松、松林の中を歩く牛と牛使いの小さい姿が対照的。
後方の山は比良山系であろうか。 
ダイナミックと人と家畜が対比されている。


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 ↓ 手前は大津の港であろう。これが「三井の晩鐘」。奥の石段の上に三井寺(園城寺)。私が拝観に訪れたときは、まるでお城にように感じたが、絵で見ても大津の街を守る城郭のように感じる。
 上で「道理で鐘は描かれていない筈だ。」と書いたが、「三井寺」にあの鐘楼を見出すことが出来ない・・・・。鐘のお堂はある?。すると、私が三井寺に行った経験からすると中央左の小さいお堂かな。


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 ↓ 8点のうち、右側の4点を撮影。
   人が多かったのだが、たまたま人の流が途切れたときに撮影。

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 ↓ ガラスケースの支柱を挟んで真ん中の作品4点。


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↓ 8点のうち、左側の4点を撮影。
 人が多かったのだが、たまたま人の流が途切れたときに撮影。「比良山」は一番左にあった。
 東博の広報誌にも「比良山」の写真のみ掲載があった。

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 「比良山」の青に次いで、パッと見たところ目立つのは緑色の松の「粟津」だ。鉱石から削るーったと思われる緑の顔料がふんだんに使われている(と見える)。

 2階の近世の展示室には、渡辺華山の作品の展示があった。
 「十友双雀図」

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「十友」とは梅、菊、芍薬、くちなしや薔薇などの草花のことだそう。
雀2羽と草花が美しく描かれている。

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↓ 落款の拡大。

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 「渡邊 登」と書いてある。「登」は小さく書いている。「・・・窓下晴快・・・」と力強い字である。
華山その人の肖像画を見ると意志の強い人柄であったようである。その非業の死とともに、維新の前の時代、近代への胎動期に活躍した人物として二宮敬作、高野長英、楠本イネ、大村益次郎、その名を挙げれば枚挙にいとまがないが、彼ら彼女らも含めて、なぜかその生涯には魅かれるものがある。

↓ 応挙の作品があった。

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 小童子の右横に応挙の署名がある。
 当時の漢字の字体で「寛政・・・初秋写」「平安源応挙」と几帳面な文字である。
他の作品と同じ署名である。(当たり前だが。)大変丁寧な文字で応挙は「A型」なのかなと思ってしまうのは議論が飛躍しすぎかな。
 応挙の作品で一番印象に残っているのは 永青文庫で見た「春画」だ。実にリアルな描写であった(苦笑)。

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 時代はややさかのぼって 久隅守景の作品。ここ東博所蔵の国宝と人物描写が似ている。
 国宝と同じく??、一曲の屏風。

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「守景筆」とある。真作で間違いない。他の作品と同じ筆跡である。
(もちろん筆跡だけで判別しないだろうが。)

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