敦井美術館 「陶聖 板谷波山展」 鑑賞2 新潟市 2018年8月

 新潟市にある「敦井美術館」(つるいびじゅつかん)、初訪問である。
 
 会期は、7月9日から9月22日の土曜日まで。
 入館したのは、開館時刻直後の午前10時01分くらい(笑)。本日最初の入館者である。室内には私以外に誰もしない。シーンという静寂に展示室内はつつまれている。曇天であるため、今までよりは幾分気温が低い。が、この夏の猛暑である。美術館に向かう途中で既に汗をかいているため、室内は冷房が効いていて涼しいので助かった。
 茨城出身の板谷波山の展覧会である。入口横に波山の経歴が掲示されている。現在の筑西市(合併前は下館)の出。北関東の関東平野のドマンナカの出身だ。「波山」の号は「筑波山」からとったことは容易に想像できる。彼の故郷からは雄大な筑波山が間近に見えるのだろう。
 以前、つくば市(つくば研究学園都市)に行ったときも北の方向にそびえる、筑波山が大変大きく見えたものだ。
 明治5年に生まれ、東京美術学校を卒業している。横山大観とは5年違いであるが、出身学校は同じ、出身県も同じ茨城である。が、波山は下館、大観は水戸と離れているし、陶芸と絵画とジャンルは違う。二人にどれだけ交友があったかは、展示からは分からない。年賦によると波山は岡倉天心を尊敬していたという点では大観と共通しているので、それなりの交友はあったと思うが、推測でしかない。
 
 順番に展示室を見ていく。順路が定められている。ほぼ、長方形の展示室を時計と反対まわりに見ていく。
 最初は、花瓶や香合、壺?などの比較的小さい作品。いわば、イントロダクション展示。展示品リストには50点の波山作の展示作品が掲載されているが、掲載は制作年代順であり、実際の展示の順番とは異なっていた。
 ガラスケース内部の展示作品を見ていくのだが、ガラスケースに展示室外のロビーや外の道路を通行する車が反射するのだ・・・・。先程私も開館前に通ったのだが、外の通りを走る路線バスが反射して目にはいってくる。実をいうと展示室内は全くの「静寂」という訳ではなく「ブブーン」という、バスの走る音も聞こえて来ることもある。


 重文(重要文化財)作品は、展示室が折れ曲がるところにあった。展示室は長方形ではなく、くぼんでいる所がある。その角のガラスケース内に大作の展示があった。
 「彩磁禽果文花瓶」

 大きい。高さは1メートルはないが、デカい。「さいじ きんかもん かびん」とふりがなが振っている。その名通り、禽獣、鳥の姿が表現されている。果実は「ザクロ」だそう。

 鳥は、人間のような顔つきをしている。鳳凰だ。「禽」は伝説の鳥であった。実在の鳥ではない。
 鳳凰の横に植物は、ざくろの実とその周囲の葉が描かれている。解説によると、鳳凰はむかいあっているそうだ。作品の「展開写真」の掲示が傍らにあった。オスとメスの鳳凰だ。オスは勇ましく、羽を広げていて、メスはオスの方向をかいがいしく見ていた。(というより、見つめ合っていた。)
 展開写真のメスの鳳凰は、残念だが、どんなに私が首をのばしてガラスケースの後の壁にかくれてその顔は 見ることができなかった。オスの鳳凰を正面に向けて展示しているため、真裏のメスは鑑賞不可能なのだ。
 ざくろのも向かい合ったて表現されている。花瓶は全体的に薄い彩色がされている。濃い彩色ではない。何となく、淡い彩色。

 解説パネルによると、戦後昭和34年、東京のデパートの日本橋高島屋?で開催された波山の個展に出品され、波山自身も代表作と、い並ぶ見学者に解説したそうだ。その模様の写真が掲示されている。死去数年前、齢(よわい)80何歳に達した波山と作品の大きな花瓶とたくさんの見学者のモノクロ写真だった。
 泉屋博古館所蔵の作品に続いて、波山の二番目の重文指定の作品と説明文にある。指定は平成18年なので、指定から10年と少ししか経過していない。


  重要文化財「彩磁禽果文花瓶」の隣に展示してある花瓶も大きい。首の部分が無いだけ、隣の花瓶よりも低い程度の高さ。「葆光彩磁珍果文様花瓶」。「ほうこう さいじ ちんか もんよう かびん 」と読む。
 青い色と花の淡い赤が目立つ。色彩が濃いので重要文化財「彩磁禽果文花瓶」よりも目立つ。
 「ほうこう」が最初、読むことが出来なかった。この「ほうこう」についての説明も書いてあった。


↓ 館外の看板から。
左、重要文化財「彩磁禽果文花瓶」と右、「葆光彩磁珍果文様花瓶」。
実際の展示ケース内でも左右の配置が同じで並べて展示されていた。

  

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 「ほうこう」はその通り、淡い光を保存する技法という意味だった。説明文によると波山は素焼きして、保存料?をその都度落とし、赤、青などの色ごとに焼いて色づけしたそうだ。大変手間のかかる技法であった。


↓ ビルの一階に美術館はある。建物角には「敦井美術館」の表示がある。
 この画像の撮影位置の角度からだと、外からも展示品が見えてしまうくらい、外光が展示室内に入る館であった。


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